こんにちは、こころテラスです。このコラムでは全国の方からいただいた遺品整理・生前整理の体験談をご紹介しています。今回は、お母様の生前に整理ができなかったというエピソードをいただきました。
ここ3年のうちに相次いでお姑さんと実母を亡くしなくしました。
私にとって母という存在はこの世にいなくなったわけですが、この二人に生前整理の大切さを学びました。
二人のは母は両極端でした。お姑さんは整理整頓が上手で、きちっと片づけて亡くなりました。実母は華やかな生活が好きで、お金がなくても次々と物を買っていました。私自身は、その実母の性質を受け継いでいるのではないかと、密かに恐れています。
母は夜中に何度も電話をしてきて「片づけに来てほしい」と私に頼むことがありました。
ボケ始めた母は母なりに、衣類やバッグであふれたゴミ屋敷を何とかしなければと思っていたようでした。ただ、自分ではどこから手を付ければよいのか分からず、私に頼んでくるのです。にもかかわらず、物欲はとても強くなっており、片方だけの手袋さえ捨てるのを拒みました。
当時、仕事を持っていた私は、休みの日には母の家に行っては仕分けをしていたのですが、結局処分させてくれませんでした。父もすでに亡くなっており、散らかったまま暮らしていても「まあいいか」と思っていました。
少しボケかけていたものの比較的元気だった母でしたが、誤嚥性肺炎であっけなく亡くなってしまいました。
突然のことだったので、お通夜の準備で大変な思いをしました。母の持ち物は一部屋に寄せ集め、玄関にあふれた履物は段ボールに詰めて隠し、なんとか間に合わせました。それでも家の周りには古い本箱や椅子が置かれたままで、ゴミ屋敷の片鱗は隠しきれていなかったと思います。
弔問客の視線が非常に痛く、母の品格を守ってあげられなかったことが、いまだに悔やまれます。
そんな母に似たのか、60歳を過ぎた今、私も物が処分できなくなってきています。
いつか着るかもしれない、いつか使うかもしれないと捨てずに取っておきながら、次々と新しいものを買うので、持ち物が増えていきます。
今日よりも明日の方がもっと捨てられなくなるのは、母を見てきたのでよく分かります。
一方で、お姑さんのほうはご高齢になってもキッパリと要不要を判断し、きちんと整理して亡くなられました。その性格に似たのか、私の旦那もそれほど物持ちではありません。
やはり片付け下手は遺伝性なのでしょうか。
現在、必要以上に物があふれている中で暮らしている私は、それがストレスとなり「片づけなくちゃ」病になっている状態です。
母を反面教師として、早い内に専門の方の手を借りて生前整理をしようと思います。