飼い主が孤独死をして、衰弱したペットが発見されるケースが増加しています。
飼い主が亡くなってしばらく誰にも発見されなかった場合、世話をしてくれる人がいなくなり、ペットの命も危険にさらされてしまいます。
このように弱りきった状態で発見されたペットは、一旦は保護されるものの新しい飼い主が現れなければ殺処分されてしまうのです。
アニマルセラピーという言葉もあるように、動物は人間に癒し効果をもたらしてくれます。
実際に、老人ホームなどでは犬が飼われて入所者たちの人気者になっている例もあります。
老人ホームだけでなく、一般の病院でもセラピードッグが院内を訪問し、長期入院患者や重篤で外出できない患者に寄り添っている光景も見られるようになりました。
定年退職をして、毎日外出をすることがなくなり運動不足になるのを防ぐ目的で、犬を飼い始める高齢の方もいらっしゃるでしょう。
ペットの散歩を通じて自分の健康管理につなげるのは大変良いことですし、愛犬が新たな生きがいとなるメリットもあります。犬を飼っている人たちと散歩の途中で交わす挨拶から親交を深めるなど、ペットを通じてご近所と気心の知れたコミュニティを築くことも可能です。
しかし、自分がペットより先に死んでしまって面倒を見てくれる家族がいないなど、行き場を失うペットたちの数も増えています。
孤独死をした高齢者の発見が遅れると、ペットも吠えることもできないほど衰弱してしまうことがあり、弱り切った状態で飼い主のそばで発見され、動物病院に収容される例が後を絶ちません。
環境省自然環境局の統計によれば、平成27年度犬の引き取り数が46,649匹でそのうち約3分の1にあたる15,811匹が殺処分されています。
猫は90,075匹が引き取られ、そのうち67,091匹、半分以上が殺処分を受けています。
引き取られる理由は、飼い主の孤独死以外にもたくさんありますが、引き取られた犬と猫を合わせた半分以上の動物たちが処分されていることがわかります。
このような結果を引き起こしているのは、ひとり暮らしの高齢者がペットを残して亡くなってしまうケースだけでなく、家庭で気軽に飼い始めたもののすぐに世話ができなくなり、簡単に手放してしまうケースも含まれているとは思います。
ひとり住まいの方だけでなく夫婦の方でもあっても、高齢の方でペットを飼っている場合、介護福祉施設へ入居したいけれどペットと離れて暮らすことができないという理由から、自宅暮らしを選んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
最近では、ペットと一緒に暮らせるサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどもありますので、そういったところを選ぶ方法もあります。
そして、自分が先に亡くなってしまったときのことを考えて、ペットのケアについても準備をしておくことは、ご自身にとっても心丈夫ではないでしょうか。
元気なうちに子どもや親族と話し合いの場を設けて、遺品整理のことやペットの引き継ぎ先について相談しておくとよいでしょう。
自分が亡くなった後、離れて暮らす家族がペットを引き取れないということがわかっているとき、または身寄りがなくペットを託せる知り合いがいないといった場合、ペットが亡くなるまできちんと預かり、飼い主の方に代わって世話をしてくれるサービスも提案されています。
犬や猫の種類、年齢などにより金額などは異なりますが、ペットを最期まで見てくれます(こういったサービスは、飼い主の方が亡くなる前からペットを預けることができます)。
また、遺言書を作成し遺産の一部をペットの飼育費用に充てることもできます。
この場合、ペットを飼育する「ペットの後見人」を選び、その人にペットが天寿を全うするまで誠心誠意世話をすることを条件に、その人に財産を贈与する旨の遺言を残します。
双方の合意があれば、ペットの世話は個人だけではなく、団体にも委託が可能です。