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多趣味だった父 思いがけない遺品整理の苦労

2017.07.09

こんにちは、こころテラスです。このコラムでは全国の方からいただいた遺品整理・生前整理の体験談をご紹介しています。今回は、お父様の遺品整理のエピソードをいただきました。

多趣味で魅力的だった父

我が家の父はとても多趣味な人で、クラシック音楽から、ローライコードのようなカメラの趣味、DIYのようなことまで手を広げているとても楽しい人でした。趣味が高じてCMにも出させていただいたことがあるほどで、父がいることでどれだけ家族にとって潤いがあったかわかりません。子どもであった私としては感謝しかないのですが、父が先立ったあと母にはそれなりの苦労があったようです。

思いがけない苦労

苦労といっても、隠し子、借金などのワイドショー的な内容ではなく、仲良し夫婦の落とし穴とでもいいましょうか、父が元気な頃は想像もしなかったことでした。それは、父の残したものがほとんど不用品になってしまったということです。父の趣味は玄人好みで、残されたものは母が使えるような実用品ではありません。かといって、ただゴミにしてしまうにはもったいない希少品というのがやっかいなところでした。

例えば、大量のクラシックレコードと、大きなステレオセット、真空管アンプ、そして、大量のCD。
CDはまだしも、クラシックレコードなどは母にとっては無用の長物でした。ところが、マニアの方から見れば喉から手がでるほどのものらしいのです。
パソコン操作などとは縁遠い母は、知人の方に何ヶ月もかかってネットオークションでレコードを売却してもらっていました。そして、あとから父の知人に「あのレコードは希少価値があったのに、譲って欲しかった」と言われ、喜んで頂ける知人に譲った方がよかったと少し落胆していました。
またステレオ類は父の友人に連絡をして、譲ることにしました。その時にもどうやって配送していいのかもわからないため、取りに来ていただくことになりました。ただ渡すだけともいかず、家をきれいに整えて、ご飯をだしたりお茶菓子をだしたり、母はそれなりに疲れたようでした。

写真が趣味だったために、残された写真も多くありました。カメラは兄に渡し、写真はアルバムを何冊か残すようにしたようですが、おそらくその残ったアルバムもかなりあります。あとは梱包をきちんとして廃棄処分にしたようです。
けれども、実家でまだ残っているものは父のDIYの道具です。あらゆる大きさのノミ、カンナ、半田ごて、電動ノコギリ、まだまだたくさんの父の物が埃をかぶりながら残っています。

生前整理もしておけば

今、母や私が思うことは、父に生前に何が大事なものだったのか、どれを残した方がよかったのか、聞いておけばよかったということです。専門家ではないので、全くわかりませんし、興味がない人間にとっては価値もよくわかりません。父の人生はとても素晴らしいものだったので、その残ったものに関しても、もう少し前に整頓しておいてあげればよかったかなと。

多趣味な伴侶がいると残されたものが多くなるのも当然です。できれば、生前に話し合いができればとも思いましたが、やはり手放したくないものあったでしょう。父が他界したあとにサッと全てを依頼できる業者さんがいてくだされば、もう少し楽だったかなと思っています。
父の残したものはほとんどなくなりましたが、今も趣味に講じている笑顔の父の写真が、我が家でも実家でも笑って私たちを見守ってくれています。

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