親が亡くなったとき、子どもが直面するのが遺品整理です。実家が普段から整理されていれば問題ありません。形見分けをしながら思い出話に花が咲くかもしれません。しかしそれがいわゆるゴミ屋敷や汚部屋だったとすると大問題です。遠く離れて住んでいる親が亡くなり、蓋を開けてみると住まいはゴミだらけ。実家でお通夜をしようにもできなかったというようなことも起こるかもしれません。
実は、このような問題は近年高齢化とともに増えているのです。
高齢者に不用品を溜めてしまう方が多いのは、次のような原因が考えられます。
高齢になると、若いころと比べて気力や体力が落ちてきます。
体力が落ちると、少し動くだけでも疲れやすくなり何もする気が起こらなくなります。
何もする気が起こらなければ、新しいことにも興味や関心が薄くなりがちです。
流行を気にすることなく、同じ服を何十年も着ているようになります。
このように過ごす日が増えていくうちに、衣食住も必要な時だけ求めるようになり、だんだん乱れていきます。
掃除などは、「自分が困らなければしなくてもよい」という思考に陥ってやがて全くしなくなります。
高齢になればなるほど、足腰が弱り、腕力もなくなってきます。
重いものを持ち上げて運ぶことも出来なくなるため、ゴミが増えれば持ち運ぶのが苦痛となって放置するようになります。
古いものでも本人にとっては思い出の品となるものが多く、これらの物を大量に抱え込んでいるうちにゴミ屋敷を作ってしまいます。
高齢化に伴い思考能力も劣り始めることから、何をどう整理していいかわからなくなり、捨てるべきものやそうでないものを仕分けることができずに放置して物がどんどん増えていきます。
自分が受けた表彰や記念の品は、自分の存在価値を示す唯一の品として、捨てがたいものです。
思い出を忘れないために、これらの品をすることが全くできない人が多くなっています。
戦時中の物がない時代に幼少時代を過ごした人たちにとって、使えるものを捨ててしまうのは、罪悪感を伴います。
「いつか、誰かが使えるから」という理由で残したものがどんどん増えていきます。
生前に片付けられないまま亡くなってしまうと、お通夜で困るだけでなく、貴重品の所在もわからなくなり遺品整理で大変苦労することになります。そうならないためにも、亡くなる前に少しづつでも片付けておくことが大切です。ですが、整理の仕方には気をつける必要があります。
めったに帰らない実家に帰り、かつての自分の家がゴミであふれているのをみれば、誰もが大急ぎで不用品を廃棄処分し、元通りすっきりした家にもどして、さっさと帰りたくなるものですが、あわてて親の所有品を一気に捨ててしまうことは絶対にしてはいけません。
親が旅行に行っている間や病気で1週間ほど入院した時など、親が不在の時を狙って一気に物を処分してしまう方もいますが、それもNGです。
捨てたい気持ちが大きいのはよくわかりますが、しばらくは「捨てる」という言葉を口にすることなく、親と一緒に「片付ける」「どこか別の場所にしまう」ことから始めます。
このように親に接することは、忍耐を伴いますし、スピーディーに物がなくならないこともあって、子供にとっても大変ストレスを感じるものですが、親はそれ以上に、自分ではなく、子供や義理の嫁や息子が自分の大事なものに触れることにより多大なストレスを感じています。
そして、最初に親子が片付けに関して衝突してしまうと、全く作業をさせてもらえなくなり追い出されてしまいます。
子供は、「すべて自分が片付けてやる」といった気持ちで接するのではなく、「そのうち片付けばいいやという気持ちで」じっくりと取り組む気持ちを忘れないようにしましょう。
物を一つ一つ手に取りながら、丁寧にどうするかをたずねていけば、やがて親も「そこにあるものは全部捨てていいよ」と言ってくれるかもしれません。
親の気持ちに寄り添いながら、少しずつ物を片付けることは子供にとっては忍耐が必要なことですが、地道にこのように接していくことで、やがて親も心を開くようになってきます。
子供が自分の増やした物の中で片付けに苦労しているのをみれば、「早く終わらせてあげよう」という気持ちになるかもしれません。
そのような気持ちになって、子供に片付けを全面的に任せてくれるようになれば、片付け専門の業者に清掃を依頼することができます。
業者は、年中無休24時間問い合わせ対応OKなので、すぐに相談に応じてくれますし実際に親の家を見て見積もりを受け取り、良ければすぐに作業を依頼することも可能です。