空き家のリスク(自身へのリスクと近隣へのリスク)
誰も住まない家を放置していると、どのような問題が発生するのでしょうか。
大まかに4つに分けみていきましょう。
広島市の報告によると、平成28年の1年間に発生した火災の原因1位は放火です。全火災件数に占める放火の割合でも約2割となっています。
すべての火事のうちの5件に1件は放火と考えると、標的にされやすい空き家は危険そのものです。
放火が起きやすいのは人の目のない深夜です。空き家には放火犯が嫌う人の目がありません。ゴミや枯草などの燃えやすいものも放置され標的とされやすいのです。
いったん出火すれば延焼で近隣にも危険が及びます。
,p>一戸建ての住宅の多くに庭があります。夏場などはみるみるうちに雑草が生い茂り、植木なども定期的に剪定を施さなければ外観も見苦しくなります。
見た目だけではなく実害もあります。伸びた枝葉が隣の敷地に入り込み、落ち葉などで迷惑をかけることになります。
ガラスが割れ雨どいも外れたまま放置されている。ポストからチラシがはみ出している。このように見るからに荒れた空き家は不法投棄もされやすくなります。
さらにスズメバチなどの害虫や野良犬、野良猫、ネズミなどの害獣が住み着き繁殖の場ともなりかねません。
こうした空き家があると、周囲の住宅の売買にも影響が及びます。荒れた空き家の隣家は買い手が付きにくく、不動産価値も下がってしまいます。
特に、家の中に家財道具や寝具を置いたままにしている空き家は危険です。
不審者が侵入し勝手に寝泊まりされることもあります。さらに、不良のたまり場にされたり犯罪の現場とされてしまったりすることさえあります。
こういった不法侵入を許すと、近隣の治安を悪化させてしまいます。
建物は人が住まなくなると急激に老朽化していきます。古い日本家屋は木造建築が多いため、定期的に換気を行わないと湿気などから傷みが進みます。
さらに、空き家の多くは築30年から40年のものが多くなっています。昭和56年以前の耐震基準で建てられた家は地震に弱いため、老朽化が進めばより一層、倒壊の恐れは大きくなります。地震だけではなく、地域によっては台風や雪の重みも倒壊のリスクとなり得ます。
倒壊まで行かなくても、瓦などが落ちれば通行人がケガをする可能性もあります。
空き家対策特別措置法では、「周辺環境に悪影響を及ぼさないよう持ち主が管理する責任がある」としています。
それでは、空き家がトラブルを引き起こさないためにはどうすればよいのでしょうか。
空き家を今後どのように活用していくか方針が定まらない場合には、最低限、近隣に迷惑がかからないように管理していきましょう。目安としては最低でも月1回程度行うのが理想です。
まずは、窓を開けて空気の入れ替えをします。家の窓をすべて開け、靴箱や押し入れなども戸を開けて外気を入れるようにします。お風呂やトイレ、床下収納なども扉を開けて風を通します。
空き家は人が住まないために長時間締め切った状態が続き、結果としてカビが発生しやすくなります。カビを予防するために、換気はできる限り晴れた日に行いましょう。
トイレやキッチン、お風呂場、洗濯パンに水を流します。
本来であれば排水トラップに水が溜まり下水から悪臭が上がってくるのを防いでいます。空き家にしておくとその水が蒸発してしまいます。これを防止するためと、水道管の中の水を入れ替えるという意味で、蛇口から数分程度水を出しっぱなしにします。
室内は掃き掃除と拭き掃除を、屋外は掃き掃除をします。
屋内の拭き掃除を行う際に、建具の立て付けに傷みがないかも合わせて確認しましょう。ベランダを掃除するとともに、ベランダの柵が腐食していなか、ベランダの床がたわんでいないなかなど強度の確認も行いましょう。
屋外の掃除では溜まった郵便物や害虫などの有無もチェックしていきます。不審火につながりかねない燃えやすいものも出しておかないように。
雨どいも可能ならば見ておきたいところです。枯葉やコケが詰まっていると雨水が流れず雨漏りを引き起こす原因となります。
そして忘れがちですが、必ずやっておきたいのが近隣への定期的な挨拶です。
常に目が行き届いているわけではないので、何かトラブルが発生した時に、最初に面識のあるご近所から連絡があるようにしておくことが大切です。
近隣との接点がないために、いきなり自治体の窓口に通報されてしまうと問題のある空き家とみなされるかもしれません。小さな異変も知らせてもらえるように、近隣とは良好な関係を築いておきましょう。