片付け下手な兄の几帳面な遺品整理

こんにちは、こころテラスです。このコラムでは全国の方からいただいた遺品整理・生前整理の体験談をご紹介しています。(弊社にご依頼いただいた案件ではありません)今回は、お父様の遺品整理をしたお兄様のエピソードをいただきました。

介護用品で溢れていた部屋がまさかの!

私の兄はお世辞にも、片付け上手とはいえません。どちらかといえば、上に積んで重ねていくタイプです。おかげで父と二人暮らしの実家は、いつも物で溢れている状態でした。ただ一度だけ、驚くほどにキレイに整頓されたときがあります。
それは父が亡くなって1ヵ月経った頃だったでしょうか。兄から、父の遺品整理をするから実家に来るようにと連絡がありました。きっと父の寝室だった部屋は今も、変わらず物がいっぱいあるんだろうと想像していました。
ところが、ドアを開けてびっくり、何もないのです。他の部屋は、雑然としているにも関わらず、この部屋だけきれいなのです。介護用ベットはもちろん、オムツやパジャマ、下着、タオルなど見慣れたものがきれいさっぱりなくなっていました。

心が見える遺品整理

兄は父の闘病生活の間、介護休暇をとって仕事を休み、付きっきりで世話をしました。もちろん、私も多くの時間を実家で過ごしました。しかし、子どもも育てたことのない兄が、老いた父のオムツをかえ、食事の世話をするのは本当に大変だったと思います。それでも、一度も弱音を吐くことはなく、父は一番居ることを望んだ自宅から旅立つことができました。
父が亡くなり、兄は一人になりました。これまで介護に追い回されていた兄でしたが、時間を持て余したのでしょう。静まり返った家の中、ひとりで遺品整理をしたようです。
兄は、捨てずに残った父の衣類や靴を並べ、「この靴はあのおじさんに」「この上着はこのおじさんに」と分けていきます。どの遺品も父の片割れであるかのように、最後まで大切に使ってもらいたいと願っているように見えました。

父からのメッセージ?

父も母もいなくなった今、私たちは兄弟二人になってしまいました。口数も少なく、無愛想な兄です。何を考えているのか、正直わかりません。遺品整理をするときに、唯一兄の心が垣間見えました。亡くなった父が「仲良く暮らしていくんだよ」と伝えているような気がします。
遺品整理は私が兄を、そして父、家族を再認識した貴重な経験になりました。

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