空き家が社会問題に。増加の原因と放置のリスク

2033年には、3軒に1軒が空き家になると予測されています。親世代から家を相続しても、
子世代はマイホームを独自に持っていることが原因です。さらに、需要と供給のバランスが釣り合わないことも拍車をかけています。

放置すれば増税され、さらに過料、解体費用まで発生しかねません。管理がされていない空き家は、周辺の環境にも悪影響を与えることになってしまいます。

空き家になる理由、原因

野村総合研究所の調査・予測によると、2013年の空き家率は13.5パーセントで、2033年には30.4パーセントにまで上がると予測されています。これは2007年に財政破綻し世の中を騒然とさせた、夕張市の空き家率33パーセントに迫るものです。

このまま何手立ても打たれなければ、財政破綻の数値に届きかねません。

では、なぜ空き家が増えているのかを考えていきましょう。
50歳を過ぎた世代では家を建てて一人前という認識があり、持ち家率が高くなっています。これはつまり、50歳を過ぎている子供世代も70歳を過ぎた親世代もそれぞれに持ち家があるということです。高齢者は夫婦二人もしくは単身という形態が多く、子供との同居は年々減少しています。

親が高齢者向けの施設に入所、死亡するなどすると、親世帯の家は住む人がいなくなってしまいます。子がその家を相続したとしても、自分のマイホームがあり仕事の拠点も離れていれば実家には戻らないでしょう。賃貸に出したり売却したりしなければ、空き家化はじわじわと進んでいきます。

住まなくても適切な管理を定期的に行っていればよいのですが、住みもせず売りにも出さないとなると管理する手間を惜しんでしまうものです。空き家が遠く離れた土地にあるなどすれば、時間的な問題も出てきます。
売却したくても、相続人の同意が得られない場合もあります。子供のころからの思い入れのある両親の家を「手放してしまってよいのか」という葛藤もあるでしょう。

運よく話がまとまって売ることにしても、古い家は建物の評価額も低く土地の値段しかつかないことさえあります。そもそも、空き家はなかなか買い手がつきません。

空き家が増えているのは、ここに原因があります。空き家は増えているのに、借りたい人や買いたい人が少ないのです。つまり需要と供給が釣り合っていないのです。

日本の人口は2008年をピークに減少の一途をたどっていますが、空き家問題で注目すべきなのは購入層の人口です。

住宅金融支援機構の調査によると39.8歳が住宅取得の平均年齢ですが、この年齢層も少子化の波を受け年々減っています。子供の数も減っていますので、今後数十年にわたって住宅取得人口の増加は見込めません。

対照的に死亡者数は増加します。層の厚い高齢者が寿命を迎えるためです。住み手のいない空き家が増えるのに買い手となる人口が減っているという現状が、空き家の増加に拍車をかけているのです。

空き家を相続してからのリスク

では、空き家を所有すると何が問題なのでしょうか。
まずは所有者のリスクについて説明します。

相続してすぐに直面し大きな負担となるのが空き家の維持管理です。親が亡くなり地方の実家を相続したとしましょう。親との思い出の残る家だから、しばらくはそのままにしておこうと決めたとします。とりあえずは、使わない荷物を置いたりたまに別荘代わりに使ったりすればいいか、くらいに考えがちです。

しかし、相続の放棄が可能なのは相続権があると知ってから3カ月です。毎年発生する固定資産税、荒れた空き家にしないための維持管理費はもちろん、将来的な解体費用までの義務を法的に背負うことになります。これは、相続の登記などの手続きを行っていなくても義務が生じます。

空き家にしておけば風通しが無くなり室内が傷みます。使っていなければ水回りも傷みます。メンテナンスを怠れば外壁も劣化が加速します。家は、人が住まなくなると急速に傷みが進み住宅としての価値も下がっていきます。

空き家を放置すると「特定空き家」に指定され税の優遇措置も受けられない

相続したままで維持管理を怠れば、周囲に迷惑な「特定空き家」に指定されてしまいかねません。指定されてしまえば税の優遇措置も受けられなくなります。修繕の勧告に従わなければ50万円の罰金も取られてしまいます。
それでも放置したままならば、自治体によって修繕や解体が実行される羽目に。もちろん費用は所有者に請求されます。
住宅を相続する際には、将来を見据えて使い道や管理の方法まで考慮した上で決断しましょう。

もう一つのリスクとして、周辺住民への悪影響があります。
放置された空き家への不法投棄や手入れのされていない庭木は、周囲の環境を悪化させます。ガラスが割れて不審者が出入りしていれば、治安の悪化を招きます。野良猫や野良犬が出入りしていれば悪臭も漂います。
瓦や外壁が剥がれ落ちていれば通行人が怪我をするかもしれません。人気がないとわかれば放火犯に狙われるかもしれません。崩れ落ちそうな空き家があれば、周囲の不動産まで売れなくなってしまいます。

このような迷惑空き家には具体的な措置を行えるようになりました。これまでは社会通念上のマナーだった空き家の維持管理が法的な義務となったのです。

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