空き家放置により発生しうる犯罪とは

空き家は治安を悪化させる存在です。
放置され人の出入りのない空き家は犯罪者にとって、大変都合の良い場所です。

空き家で真っ先に心配しなければならない犯罪は「放火」です。空き家は人の出入りがないために、犯行を見とがめられることがありません。さらに、空き家のまま放置されていれば、ゴミや枯草といった可燃物が散乱してしまうことも放火犯にとっては好都合なのです。門扉が壊れていたりドアや窓が施錠されていなかったりすると出入りが自由にできるため、被害に遭う確率はさらに上がります。

放火までいかなくても、歩きたばこをしている通行人が捨てた吸い殻の火が原因で火災が起こらないともいえません。もし火災が発生し近隣の住宅にまで類焼したとすれば失火責任法が適用され、所有者にも責任が及ぶこととなります。

考えられる犯罪は放火だけではありません。
勝手に不審者が入り込み住みついてしまうこともあります。電気や水道を使われ寝具や家財道具をわが物のように使い、ゴミはそのまま放置。家は荒れ、周辺住民にも迷惑がかかります。

ただ住むだけでは飽き足らず、犯罪の温床となることもあります。未成年者が飲酒や喫煙をするためたまり場にするなど、犯罪を誘発する場所となってしまうのです。

振り込め詐欺の現金送付先の住所に使われるケースもありました。空き家を隠れ蓑にして大麻の大量栽培を行っていたという報道もあります。薬物乱用者が周囲へ危害を加えたり、周辺で薬物の売買を行ったりすれば、治安悪化は防ぐことはできません。

不法投棄も犯罪です。ゴミの分別が厳しくなり、家電リサイクル法に該当するものなどは有料となっています。荒れた空き家であれば、不法投棄もしやすくなり、それを見た他の人もゴミを捨てるという負の連鎖になりかねません。

侵入者は窓ガラスを割って入ってくる

警視庁の平成28年度の報告によると、住宅に侵入し窃盗を行う犯罪者の約6割が窓からとなっています。縁側やベランダ、居室の窓からの侵入で、残りのおよそ4割は玄関などの出入り口からとなっています。

侵入の手段としては、施錠し忘れた窓や玄関から入る以外では、何らかの手段を取っています。ドアはバールなどでこじ開けるか、特殊工具で開錠しています。

ガラスは割ったり破ったりして侵入しています。窓ガラスを壊し、そこから手を差し入れ鍵も外します。一般的なガラス戸であればものの数秒で侵入することが可能です。

そのため、窓ガラスの破壊を完全に防止するのは現実的ではありません。それよりも、侵入に時間がかかるようにすることです。犯罪者は犯行に時間がかかることを嫌います。時間がかかればかかるほど、発見され通報される確率が高まります。そのため、侵入に手間取りそうだと思えば諦めることが多くなるのです。

具体的な防犯対策

犯罪者は常に一番簡単に侵入できる手口を考えています。
それだけに、人に見つかりにくい空き家は人が住んでいる家よりも犯罪に巻き込まれる可能性が高くなっています。まずは、外から見て空き家だと思われないようにしましょう。

定期的に空き家の巡回し管理を行っていれば、ポストに郵便物があふれてゴミ放置されているというような状況は防げます。こまめに行けないのであれば、郵便局に転送届をだし、郵便受けにはチラシお断り」の表記をしておきましょう。窓ガラスが割れていれば修理します。窓から侵入されにくくするために、足場となるような物置や室外機は移動させておきます。

さらに、防犯対策を取っていることが外部からも分かるようにアピールすることも効果的です。
侵入経路とされやすい窓には防犯フィルムを貼っておきます。面格子や補助錠も設置するとより安心です。同様に侵入口となりやすい玄関ドアにも補助錠を取り付け、手間取る家だと犯罪者に印象づけることが大切です。

もし予算が許すのであれば、監視カメラや防犯ステッカー、センサーライトの設置も検討しましょう。ホームセンターで手ごろな価格で購入できるものもあります。

なにより一番の防犯対策は人の目です。人が出入りしている気配が感じられる家には、犯罪者は寄り付きにくいものです。こまめに管理していれば狙われる可能性は少なくなります。
しかしながら、事情が許さない人もいるでしょう。そんな場合は空き家巡回サービスを利用しましょう。庭木や雑草の管理、ポストの整理のほか雨漏りのチェックなどを行ってくれるものです。大きな問題に発展する前の段階で対処することができるので、空き家が遠方にある場合は利用価値が大きいと言えるでしょう。

また、ご近所の方にたまに様子を見てもらえると、それだけでも大きな防犯対策となります。空き家の巡回に行った折には挨拶をしておくなど普段から関係づくりを心がけておきましょう。