深刻化する空き家の問題点。被害を受けるのは誰?

問題になっている空き家とはどんな空き家?

空き家が社会的な問題として取り上げられていますが、すべての空き家がその対象となるわけではありません。空き家は「売却用」「賃貸用」「別荘などの二次的住宅」「その他」に分類されます。

この中で問題とされるのが、空き家となっても買い手や売り手を探さず、とりあえずそのままにされている「その他」のものです。よくあるパターンが、高齢者が老人向け施設に入居した場合や親の死後、放置されるケースです。

国土交通省の平成28年の調査によると、空き家のうちほかの3種はここ数年頭打ちの傾向にありますが、「その他」の空き家についてだけは相変わらず増加の傾向にあります。
「その他」の空き家318万戸のうち最も多いのが木造一戸建てで220万戸となっています。このような空き家では腐朽・破損があるものが4割近くを占めています。
この先、特定空き家に指定される候補となりそうなものは、これらのうち目立って状態が悪いものです。

その他の空き家は過疎が問題となる県で多くなっています。反対に都市部では低く、東京では最も少なくなっています。これは、高齢化率が高いほど相続などの問題で、「その他」の空き家となりやすいためと考えられます。都市部では空き家率は低くなりますが、絶対数は多くなります。

また、住宅同士の間隔が離れている地方とちがって、都市部では住宅が密集しています。迷惑な空き家が1軒あっただけでも、近隣への影響が大きくなるという側面があります。

具体的に起こる問題とは

今はまだ空き家になっていなくても、高齢者夫婦や独居老人が多く住む地域は時間の問題です。空き家予備軍があちらこちらに控えている状態といえるでしょう。

人口減少が進むなか、核家族化が進み、親の空き家を子が引き継げない。
売却や賃貸に出したくても、住宅の質や立地の面から需要が見込めない。
更地にすれば土地への固定資産税等の住宅用地特例から外れるため、放置しておく方が得。

このような状況が空き家の放置に拍車をかけています。

空き家を引き継いだ時点では自分では住まないものの、時折様子を見に行くとします。年月が経つにつれて自分も高齢となり、このままいけば空き家の管理を孫に委ねることとなってしまいます。ようやくこの段階で空き家を売ろうと考えるのですが、長年誰も住まなかった家は劣化し価値はなくなっています。

売るなり貸すなりするのであれば、早めの決断が求められます。それでも保留にしてしまうのは家に対する愛着があるからです。また、思い出の品や仏壇の処分ができないという理由もあるでしょう。

相続の問題などですぐには手放せないとしても、定期的に巡回し維持管理を行っているのであれば、さしあたっての問題はありません。ですが、放置したままにしてしまうと問題のある空き家に変貌してしまいます。
ひどい場合は倒壊、そこまでいかなくとも不審者侵入や放火、不法投棄の危険性が増加し、近隣住民に不安を及ぼします。

迷惑を被るのは家主だけではない。近隣に及ぶ被害

田舎で隣家との距離が遠く離れているようない空き家であれば、さしあたって困るのは所有者だけです。管理に手が回らず家の傷みがひどくなったとしても、自分の持ち物だから他人には関係がないと言っていられるかもしれません。
しかし、都市部で家と家との距離が近く、隣家の庭木が入り込むような場合は近隣にも迷惑がかかります。

一番多くあがる苦情は、伸び放題の雑草や敷地内に伸びてきた枝についてです。それほど深刻な問題ではないですが、所有者が分からないなど連絡がつかない場合もあります。この場合は自治体に相談することになりますが、近隣に持ち主も分からない空き家が放置されているという事実は地域の不安材料となります。

誰かがゴミを捨てればそれに誘発され不法投棄がなされるようになります。燃えるゴミが放置されていれば放火の危険性も高まります。害獣が住み着き糞尿が放置されれば悪臭や害虫の発生源となります。植木や雑草が伸び放題になっていれば、通りからの視界が妨げられ死角となってしまいます。それはもう、犯罪者に狙われやすい家です。

施錠がされていなければ不審者も住み着き犯罪を誘発します。

このように、適切な管理がなされていない空き家は最悪の場合で倒壊の恐れさえ生じます。

現段階ではそのような事態に陥ってはいないものの、懸念を感じる近隣の住民は自治体への陳情や苦情として寄せられます。こうなると自治体が動き出すのも時間の問題です。

職員が現場に出向き外観を目視で調査することとなり、必要であれば立ち入り調査となります。状態がひどく働きかけても改善がみられなければ、特定空家と認定されるかもしれません。

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