旅の思い出と遺品整理

こんにちは、こころテラスです。このコラムでは全国の方からいただいた遺品整理・生前整理の体験談をご紹介しています。
今回、余生をアクティブに過ごしていたお母様を亡くされ、ご自身で遺品整理された女性のエピソードです。※実話をもとにしたフィクションです。

旅行好きだった母

私は2ヶ月前に、76歳だった母を亡くしました。母は、父が病死してからしばらくの間はふさぎ込んでいましたが、私が「気分転換に旅行に行かない?」と誘って台湾に行ってから海外旅行にハマり、10年近くの間に15か国も旅行するほどの旅好きになっていました。それまで海外に一度も行ったことがなかった母は、異国の文化に触れてとても感動したようでした。その後、海外には母の友人と渡航していたようですが、一度だけ私と夫、2人の子どもを連れてハワイへ行ったことがありました。本当に楽しそうに過ごしていた母の姿が今でも忘れられません。

晩年、母は認知症を患い、しばらくの間は私が介護していたのですが、その間も旅行の思い出やお土産のことだけは忘れていませんでした。同じ思い出話を何回も聞かされました。それだけ認知症の母にとっても思い出深いことが多かったのだなと感慨深くなりました。

残されたお土産部屋

介護施設に入居して3ヶ月後に母は亡くなりました。認知症だったものの、まだまだ活力のあった母が突然亡くなったことで、私はしばらくの間喪失感に苛まれていました。それでも夫の励ましもあり、少しずつ遺品整理を始めることにしました。
母の部屋には渡航先で買った大量のお土産がありました。民族衣装やTシャツ、民芸品やアクセサリーなど、買ってきたのに使わないお土産が増えていったのです。部屋の一角にはお土産を置くスペースが設けられ、どんどんそのスペースは広がっていき、6畳の部屋の半分を占拠するほどになりました。認知症になってもこのお土産スペースだけは一切手をつけず、きれいに整理整頓されていました。

遺品の売却や形見分けを通じて思い出した母の姿

数十万円もするペルシャ絨毯やら、10万円くらいで買ったというひすいのアクセサリーなど、高価なものは買取業者に依頼して買い取ってもらい、他のTシャツや雑貨類は親族で分け合いました。特に、私達家族で行ったハワイの雑貨類や写真は、ほかのどの国よりも大量に残されており、生前の楽しそうな母の姿を思い出させてくれました。

遺品の整理は本当に大変でしたが、残された遺族は遺品整理を通じて故人を偲び、生前の思い出話に花を咲かせられるのだなと思いました。母の遺品をわけてもらえて、私も子どもたちも喜んでいます。そんな私たちの様子を、母が天国から見守っているといいなと思っています。

体験談をありがとうございました。遺品の整理はつらいことばかりではありません。楽しいことも悲しいことも思い出されるかもしれませんが、前向きな気持ちで作業を進めていきたいものです。
もし、ご家族だけでは作業が難しい場合は私どもにお任せください。こころテラスではご家族に代わって丁寧に遺品整理をさせていただきます。

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