遺品整理で出て来たものは寄付するという選択肢も
特に趣味も無くつつましく暮らしてきた人でも、身の回りの日用品から愛用品までそれ相応の数の物を持っています。所有者が亡くなるとそれらがそのまま遺品となるわけですから、その整理は手間も時間もかかります。
先ずは、ざっくりと、資産価値のあるもの、保管の必要な書類、その他日用品などに分けます。日用品の中からさらにリサイクルショップに売れそうなものは換金して、貰い手のいるものは形見分けをして、と徐々に処分していって、最後に残ったものはゴミとして廃棄となります。
残った物が明らかに捨てるのに問題ない物だけならすんなりと遺品整理終了となりますが、整理の途中で処分に困ったり、捨てるほかに方法が見つからないのに捨てるに忍びない物が多く残ってしまったりしたときには、寄付や寄贈という形で社会貢献する方法もあります。
遺品は「売却、保存、寄付」のいずれかで処分できる
遺品は、明らかなゴミは廃棄しますが、その他はきちんと分類すれば、大切に保管したり、換金したり、必要とする人に引き取ってもらったり、寄付したりして適切に処分することができます。
先ずは、身内の間で引き取り手を募りましょう。なるべく故人に親しい人が引き続き使うと故人も喜んでくれるしょう。そして、資産価値のある高額な物は除外して、リサイクルショップに売却できる物をまとめましょう。家具、家電製品、衣類、本、CD・DVDなど、ある程度の量があれば、家に引き取りに来てもらうこともできます。
リサイクルショップでは、買い手の目途がつくような物以外は現金で買い取ってくれません。売れ残った物は持ち帰って廃棄するしかないのですが、その中にはまだ使える物も含まれています。買い取りは叶わなくても、そのまま引き取ってくれるお店もあるので、買取依頼のときに相談してみましょう。
また、児童養護施設や介護老人ホーム、障がい者福祉施設などに問い合わせると、必要とされる場合もあります。さらに、被災地や発展途上国へボランティア団体を通じて寄付する方法もあります。
寄付と寄贈の違い、贈るものの種類と送り先
「寄付」と「寄贈」とは、贈る物と贈り先で違いがあります。
まず「寄付」は、主に日用品などをボランティア団体や支援団体、NPOなどの組織を通じて、必要とされる人々に届けてもらうことをいいます。国内では児童養護施設や介護老人ホーム、障がい者施設などの利用者、災害に遭って家を失った人などの生活に役立てられます。海外では難民や途上国の貧困層などへの生活物資となります。
リサイクルショップで換金されない、身内で誰も引き取り手がいない、といった遺品でも、多量で捨てるのに手間がかかる、故人を思うとゴミ捨て場に持っていくのが忍びないなどの場合は、寄付という手段で困っている人のために役立てましょう。寄付先の探し方が分からないときは、遺品整理業者に相談してみると、寄付の受付先に届けてくれる業者もあります。
また、遺品整理業者に依頼して、遺品のほとんどを寄付することもできます。換金できるものはお金として寄付し、出来なかった物はそのまま引き取ってもらえる団体に渡すなど、一括して社会に還元するといった活動を推進している業者もあるので、遺品整理の効率化も図れます。
次に「寄贈」は、美術品・骨董品や蔵書などの故人のコレクションを、美術館や博物館、図書館などの教育機関や医療機関などの公共の施設に贈ることをいいます。その際、贈与税や相続税がかかりませんので、高額な相続税を払うことができない場合の遺品整理方法のひとつです。
故人の遺志を受け継いでコレクションを維持したくてもできない場合なども、寄贈することによって公共機関に管理してもらうことができ、また、コレクションを広く一般の人たちに見てもらうことができるので、社会貢献の一助にもなるというメリットがあります。
国の美術品に関する税制優遇措置について
一個人が重要文化財クラスの美術品・骨董品などを国に寄付した場合、その品物の取得金額に相当する額が所得から控除(上限あり)され、相続税に関しては非課税となります。相続税を支払えない場合に国に相続財産(故人の高額な美術品・骨董品などのコレクション)を「物納」する制度もあります。ただし、不動産の物納に比べると優先順位が低く、余程価値のあるものでなければ物納品として認められないようです。
相続税には、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除が設けられています。従って、例えば、法定相続人が2人の場合は4,200万円以上の物でない限り相続税はかかりません。相続税が問題になるのは主に土地や建物の不動産なので、かなりの高額品でなければ、動産に相続税がかかることはありません。
故人のコレクションは、換金するにしても、寄贈するにしても、身内がその価値を把握していなければ上手くいきません。中には、一見何の価値も無さそうなものにも時価でものすごく高額になる物もあります。遺言書に記載がないかを確認するのはもちろんですが、まずは、専門家に相談して最も適切な方法で処分方法を決めましょう。
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