お盆や正月に実家に帰った時に、実家の冷蔵庫の中に、賞味期限が切れた物や腐ってしまった野菜がたくさんあったり、部屋の中が雑然として物が溢れたりして、片づけができていないなと感じることがありませんか?
昔はまめできれい好きだった親御さんであっても、年齢を重ねることにより、細かな配慮や重労働を伴う片づけが億劫になることは仕方がないことです。
ただ、親御さんが亡くなり遺品整理を行う際、膨大な遺品を目の前に悩むお子さんは多いです。
親御さんが亡くなるのはまだ先だと思っている方も多いでしょうが、知らず知らずに親御さんも年を重ね老いていくことは確かで、体力や判断力は衰えてきます。
例えば、10年後、体力や判断力が衰えた親御さんと片づけを行うのと、今行うのでは、お子さん世代にかかる苦労はかなり違いますので、親御さんをその気にさせて片づけを一緒に行いましょう。
掃除や整理整頓のためのグッズや本がちまたに溢れ、昔話題になった断捨離という言葉も定着しました。
ただ、親御さんの中には、物を捨てることは悪いことで、もったいないと考える方も少なくありません。
戦後、物資が不足した時代に育った親御さん世代は特にそう思うことが多く、仕方がないといえば仕方がないことです。
そのため、よかれと思って、片づけを申し出ても、拒否されることも珍しくはありません。
ただ、親御さんが自分の物を自分の管理下におけるうちは良いのですが、老いがすすむと管理能力が低下して、保管すべき物と捨てるべき物の判断能力も低下して、実家がいわゆるゴミ屋敷になってしまう可能性もあります。
将来、親御さんに介護が必要になった場合も考えなければなりません。
室内に物が溢れていると、介護ベッドや転倒防止の手すりの設置が困難な場合もあります。
また、車椅子で移動できる室内空間があっても、整理整頓されておらず放置された物で狭くなってしまっては意味がありません。
また、多くの物が室内外などに放置されていると、色々な危険因子を放置しているのと同じです。
例えば、放置されている物に足が引っかかって転倒し、骨折したりするケースも考えられます。
また、冷蔵庫内に放置された賞味期限切れの食べ物を、誤って食べてしまうと、食中毒になる可能性もあります。
放置されている物から、悪臭や虫が発生して、ご近所にご迷惑をかけることさえあります。
自分の事はいつまでも自分でしたいとい思いは誰にでもあって、親子の間柄であっても例外ではないです。
親御さんにとっては、子供に迷惑をかけたくないという思いもあり、片づけの申し出を断わることもあります。
ただ、親御さんが所有する物は、勝手に整理したり、処分したりすることはできませんので、体力や判断能力があるうちに親子で実家の片づけをすることが重要です。
親御さんが寝たきりなってしまったら、保管すべき物と捨てるべき物を判断してもらうたびに、親御さんが寝ているベッドに運ばなくてはならない場合もあり、大変です。
また、親御さんがアルツハイマー病を発症してしまったら、保管すべき物と捨てるべき物の判断ができない場合もあります。
このようなことから、親御さんに体力や判断能力があるうちに、実家の片づけを行うのが良いでしょう。
実家といっても、同居していないお子さんが片付けをする場合は、どこに何があるかわからないので、片づけを一度で済まそうとせずに、徐々に行うことが重要です。
例えば、実家に帰るたびに時間を作って、部屋一つずつ整理するようなルールを自分で作りましょう。
また、実家は自分の家のように、完璧な片づけは不可能なので、親御さんと話し合いルールを作り、妥協する気持ちも必要です。
親御さんの中には、押し入れやクローゼットにきれいに収まっている物まで処分することをためらう方もいます。
ただ、片づけは普段使わない物を押入れなどに入れるのではなく、使わない物は売るか譲るかして物の数を減らし、普段使う物だけを残すことで親御さんに理解してもらうことが重要です。