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母の遺品を枕元に置いていた父 その孤独を偲ぶ遺品整理

2017.05.06

こんにちは、こころテラスです。このコラムでは全国の方からいただいた遺品整理・生前整理の体験談をご紹介しています。(弊社にご依頼いただいた案件ではありません)今回は、ご両親の遺品整理のエピソードをいただきました。

 妻に先立たれた父

旦那さんを亡くした女の人は、たくましく長生きされる方も多いそうです。一方で、奥さんを亡くした男の人は、すっかり元気をなくしてしまうことが多いと聞きます。私の父も例外ではありませんでした。

無骨で、頑固で、寡黙な父。娘の私たちにとっては厳しい父でした。ところが、母を亡くしてからというもの、すっかり元気をなくして家の中にこもりきりになってしまったのです。
私もしばしば顔を出しては食事や洗濯や掃除をしてあげたりしたものです。孫娘たちと一緒に旅行に出かけたりもしたのですが、どう私たちが励ましてみても、母の不在が父に与えた影響はあまりにも大きく、深いものでした。

父の孤独を偲ぶ

そんな父も、数年前に亡くなりました。父のいなくなった実家は物が散乱していて、自分が生まれ育った実家であることが嘘のようでした。
寝室の布団は敷きっぱなしで、枕元には母の写真と、着物などの愛用品が置いてありました。
きっと、母の遺品が父の心のよりどころだったのでしょう。晩年の父の深い孤独が偲ばれ、いたたまれない気持ちになりました。それと同時に、あの威厳ある父も実はひとりの男だったのだと思うと、なんだかかわいく思えてしまいました。

受け継いだ遺品

今は誰も住むことのなくなった実家。
わたしたち娘姉妹しかいないために跡取りもなく、遺品整理し、家財もすべて処分し、建物も解体しました。

私は、父が大事にしていた母の愛用品と、着物を一着ほど引き取りました。母の遺品ではありますが、愛用していた母と、母を偲んでいた父の、2人の思い出が詰まった品です。娘である私と、私の娘で、大事に受け継いでいきたいと思うのです。
子供や孫のことをとても大事にしてくれていた母、そして父。この世にはもういないし、実家ももうないけれど、両親は私たちの中でずっと生き続けている。
彼らの遺品が、そのことの証のように思えるのです。

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